Trip&Hug

旅のこと、日々のこと。

ハカランダとおじちゃん

 メキシコシティに降り立つ時、窓の外から薄紫色の花のついた木を見た。1つではなく、町中に。ついている花は、藤紫に近いような、優しく、控えめな色合いだった。その花の名は、ハカランダという。このハカランダの木は色々な所で見ることができた。遺跡においても。

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 オアハカで初めて遺跡行った。モンテアルバン遺跡だ。市内から往復のバスが出ていて、当日受付でも行くことができる。市内からモンテアルバンまでは、30分程度。乗り合いバスに揺られながら向かう。
車内はバックパッカーのような人、カップル、親子、様々である。私はいそいそと助手席に陣取った。助手席に乗り込むと、運転手がニコッと笑顔を向ける。私も遺跡に向かうワクワクに笑顔を返す。特等席からは、街の慌ただしさや遠くの山を観察できた。

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 モンテアルバンは山の上にあるため、細い道をくるくるとソフトクリームの逆再生みたいに登って行く。徐々に頂上に近づくと、街の景色を眺めることができた。そこで何となく、オアハカの地形がわかる。山々に囲まれており、すり鉢の底が市内のような感じ。
 1つの山のてっぺんに宮殿のようなモンテアルバン遺跡がずっしりと構えている。
 遺跡に着いて、とにかく歩く。

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 とても広く、1つ1つが大きいため、ピラミッドからピラミッドまでの間が200メートル以上はあるのではなかろうか。そして、ピラミッドの階段も一段一段が大きく、数も多いので、頂上に登った時には、ゼイゼイ、ハアハアである。いい眺めと思うよりも、まず先に息を整えることが精一杯である。

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 約2時間程だろうか、遺跡をくまなく散策した。ピラミッドというピラミッドは、頂上に登ってみた。

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 ある、ピラミッドの階段にお土産売りのおじちゃんがいた。おそらく何度もすれ違っていたと思う。
「Where are you from?」

 そのおじちゃんから声をかけられる。ここぞとばかりに覚えたての「ハポン」を使う。すると、「そうか、日本は広いかい?」とおじちゃんが英語で話しを続ける。私もメキシコよりも小さいと思う。ここよりも暑くないしねと返し、おじちゃんは無邪気な笑顔を見せた。お互い英語で、しばらくの間、少し話をして、私はお礼を言ってその場を後にする。

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 帰り際、バスの時間まで、ハカランダの木をじっくり見ながら、写真を撮った。風に揺れるハカランダがとても美しく、気持ちよかった。

 ふと目線を遠くに向けると、先ほどのお土産売りのおじちゃんが、ハカランダの下で休んでいた。そして、私が見ているのに気付くと無邪気な笑顔とピース。不意打ちのピースと笑顔に思わず笑ってしまった。そして、手を振って帰りのバスに乗った。
 モンテアルバンの思い出は、ハカランダとおじちゃん。そよそよと揺れる藤紫のハカランダと無邪気なおじちゃんの笑顔を時々思い出し、私を笑わせてくれる。