Trip&Hug

旅のこと、日々のこと。

シウダデラ市場とおじさん

 オアハカからメキシコシティに着いたのは、午前中。

この半日をどう過ごそうか、検討し、チャプルテペック公園とシウダデラ市場に行くことにした。 

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空港から地下鉄に乗り、1つ乗り換えて公園へ。

行き先と乗り換える駅をメモして、そのメモを頼りに進んで行く、不安になると駅員さんに聞いてみる。

すると、「僕より彼が知ってるよ」と普通の乗客らしき、おじさんを紹介される。
そのおじさんは丁寧な英語で説明してくれ、時々ジェスチャーも交えてくれた。そして、最後に進むべき方向を指差し、私はその方向へと進んだ。
地下鉄に乗る際には、女性専用車に乗ると良いと初日に妹から言われていた。ホームに降りるとすかさず、女性車両を目指す。
時刻表の無い、メキシコの地下鉄は来た電車に乗る。

それから駅に着けばアナウンスもなく、目的地の名前が降りる。

現地の人なら簡単なことかもしれないが、私にはかなり大きなミッションだ。乗り換える駅と降りる駅のメモを見て、止まるたびに外の看板をチラチラと見た。
チャプルテペックの駅に着き、地上に出ると、公園に向かう人たちがたくさんいる。

その人たちについて行くと、公園に入り、大きな英雄少年記念塔が見える。

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 更に奥に進んで行くと、動物園や美術館なども見えてくる。
 私は動物園に行くことにして、進んで行くとまず始めに日本のたぬきに出会った。

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周りには人だかり、意外と人気である。そこに集まるみんなメキシコ人。

日本出身は私とたぬき。

ちょっとした親近感。

 動物園をくるくると回っていると、順路が逆であると気づく。

案内ボードの前で。

もう一度方向を確認しようと見ていると、掃除のおじさんが

「どこに行きたいんだい?」

と声をかけてくれる。

私は行きたい方向を指差すと、こんな風に回るといいよと方向と回る場所を指でさしてくれた。

その順路で回ってみると、見事に逆であった。

そこまで順路は大きな問題ではないのかもしれない。
動物園でコヨーテと、コヨーテの前でコヨーテの鳴き声真似する親子に癒され、シウダデラ市場に向かった。


お昼過ぎ、市場に到着。

お店を一巡し、レストランでモレを頂く。

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 食事中にギターを抱えたおじさんが歌いながら、席を回る。

それを聴きながら、濃厚なモレとコーラを飲む。メキシコを味わってる…と感じる。

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 腹ごしらえをして、自分用と友だち用のお土産を買う。

いくつかの市場を回って来たが、シウダデラ市場は安く、多く買うとまけてくれるため、とても良心的だ。
ただ、お店の数も売っているお土産の種類も多いので、何を買おうか、どこで買おうか迷ってしまう。

あっちへこっちへ回っていると、宝石店のおじさんが、

「こんにちは」

と慣れない日本語で話しかけてくる。「どこから来たの?」

「英語は話せる?」と聞かれ、簡単な英語で答える。

少し話をして、私はお土産を再度探し始める。

くるくると回っていたら、またおじさんのお店に来てしまった。

すると、「何を探しているの?」とにこやかに聞いてくれる。

何度も会ってしまい、気まずい思いをしていた私だが、おじさんはそんなことは気にせず、お土産探しを手伝ってくれようとしている。

また少し話をして、他のお店を回る。
最後に欲しいと思っていた亀の置物を購入。

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 帰途に着こうと、先ほどの宝石店のおじさんに挨拶に行く。
「ホテルに戻ります。明日は日本に帰ります。今日はいろいろとありがとう。」
と私が伝えると、おじさんは手を差し出し、厚い手で握手をする。
そして、店内にある名刺に、電話番号と名前を書いて、
「また、いつでも戻っておいで。ここにお店はあるから。名前はこれだよ。また、来た時は顔出して。」
としっかりと目を見つめ、にこやかに言ってくれる。

なんだか、嬉しいのと寂しい気持ちが混じって、泣きそうになる。
お互いに「またね」を言い合って、シウダデラ市場を後にする。
帰りの地下鉄は、来た時の緊張感が取れ、自然な気持ちで乗ることができた。時々、シウダデラ市場のおじさんの言葉を反芻しながら、この旅を振り返り、暖かな気持ちで電車に揺られた。