Trip&Hug

旅のこと、日々のこと。

長く白い雲がたなびく国

2023年4月 私は成田空港にいた。ニュージーランドへの留学に行くためだ。

その時の日記を見つけたのでここに記す。

 

私は今飛行機に乗っている。旅行ではない、片道切符の旅だ。

 

5年前にNew Zealandに行こうと思ってから、新型コロナウィルスの流行、職場の変化などがあり、行くのは無理かと思っていた。しかし、諦めの悪い私はいつか留学に行くと決めて、ずっとその時を待っていた。

 

留学にすべきか、ワーキングホリデーにすべきか悩んだ末に、自分の専門性を高めたいと選んだのは留学だった。日本を出て、海外の福祉や対人援助を知ってみたいと思ったからだ。

1年前から準備を始めていたが、周りには中々言えなかった。この年齢で?、その先はどうするの?と聞かれることも怖かったし、何より今ある繋がりを壊してしまうのではないかと不安だった。そうしているうちに時は過ぎ、出発まで半年弱というところまできてしまった。ここまで来ると仕事先でも言わないと引き継ぎができないため、言わざるを得なくなる。

正直に話すと同僚は理解してくれ、何より背中を押してくれた。中には目に涙を溜めて聞いてくれる同僚もいた。職場は忙しかったが、素敵な人々に囲まれていたと感じる。

 

別れ‥は辛いもので、素直に寂しいと言えればいいのに、私は言えなかった。涙も流せなかった。

出発ゲートの前で家族、友達、同僚に送ってもらい、彼らが見えるところまでは我慢した。エスカレーターを降りた時、我慢できなかった涙がとめどなく溢れた。免税ショップの前を通りながら、搭乗を待つ椅子で座りながらずっと泣いていた。私は今まであそこまで泣いている人を見たことがない、自分以外は。

見送ってくれていた友だちからLINEが届く。私が去った後、同僚の何人かが泣いていたよ、と。それを読んでまた泣く。もっと素直になって良かったのかもと思う。

これから始まる新たな地では自分の気持ちに正直に、もっと素直になろうと誓った。

 

サイパン手前の上空にて。

 

 

 

 

Hello! Mérida

メリダに着いたのは夜だった。

空からメリダのきれいな夜景が見えたのを覚えている。

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飛行機から降りるとじわっと蒸し暑さを感じた。

この飛行機から降りて、その地の空気に触れる瞬間ってたまらない。

 

乗り合いバスに乗り、市内へ向かいすぐにホテルへ。

バスに乗ると機内で寝ていた妹が口を開く。

メリダは何度も来たけど、前は路線バスで市内に行ったこともある」

乗り場まで歩いていたらイグアナに遭遇した、らしい。

 

妹はメリダが好きだ。

詳しい理由は知らなかったが、メリダに着き、気持ちが高揚しているのがわかった。

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次の日、蒸し暑さで目を覚ます。

チアパスとは違う気候。

同じ国の中でこんなに違う。

とにかく、暑いので必需品となりそうな帽子を買いに、行くことを妹に告げる。

すると、妹より忠告が…

メリダカンクンよりも英語使えないからね…」

まずい…。

私はほぼ、スペイン語が話せない。

前回の旅行で定着した単語は「チョコラテ」、「フリオ」である。

そして、今回学んだ単語は「ペロ(犬)」、「ガト(猫)」である。(以下の写真はチアパスのもの)

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帽子買えるのか…?

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買えなかったらしょうがない、という気持ちで街に繰り出す。

中心地にはいくつかのお土産屋さん、大きな教会、ソカロがある。

思い切って、ソカロの真ん前にあるお土産屋さんに飛び込む。

「Merida」と書かれたいかにも…という帽子を手に取りレジへ。

すでに値段が書いてあったので、難なくお買い物クリア。

ここで、もう一つ買いたいものを発見してしまう。

「サンダル」

サイズも色もあるし、これは無理かと思いきや…

慣れた店員さん、私の足を見て、足に合うサイズのサンダルを持ってくる。

"ピッタリだ"

笑顔で店員さんを見る

店員さんも笑顔

レジではさみを切るジェスチャーをすると、タグも切ってくれた。

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本来なら、もっと言葉を学ぶべきところ…

分かろうとしてくれる店員さんによって助けられた。

伝えたいというこちらの意思も必要だと感じる。

通じて当たり前と感じていた私に、もう一度コミュニケーションを取る、という大事なことを気づく。

妹がなぜメリダを好きなのか、を少し理解できた気がする。

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メキシコの娘

チアパス 3日目の朝

この日はチアパスから発つ日。

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友人家族は日本へ帰国、

私と妹はユカタン州メリダに旅立つ。

 

ゆったりとした朝がきて、友人家族と共に朝食を食べる。

すると、近くで食べていた仲人さん夫婦が私たちに声を掛ける。

手元にはかわいらしい人形の入った袋を持って…。

仲人さんご夫婦は、ケレタロ州からこの結婚式にやってきたそう。

妹がご夫婦の言葉を通訳する。

奥様と娘さんが作ってくれた人形をプレゼントをしてくれる…とのことだった。

手作りで、それぞれ色も違う、素敵な贈り物だ。

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朝食後は忙しなく、お土産を買いに行ったり、最後の観光を楽しんだ。

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3日間の滞在だったものの、全てが早送りで進んでいたように、あっという間だった。

スピードは速くても、中身はぎっしりと詰まっていて、今でもいろいろなシーンが思い出せる。

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空港にて、旦那さんのご家族とお別れ。

友人の義理の母と友人父が話している。その会話を通訳している妹。

 

友人の父が、「娘がメキシコで暖かく受け入れられて、幸せな生活を送れている。ありがとうございます」と、義理の母に伝える。

 

それに対して、「あなたの娘は、私の娘だから。心配しないで。大丈夫です。」と旦那さんのお母さん。

娘を思う、日本の父。メキシコの母。

 

それを通訳していた妹が涙。

手荷物検査の際に、こんな会話があったの…と聞かされた私も涙。

周りは泣いていないのに…。

 

ゲートに入り、姉妹の涙の理由を笑いつつ、友人や友人家族に話し、別れは笑顔で。

友人家族と友人はメキシコシティに向かい、私たちは暖かいメリダに向かった。

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メリダに向かう飛行機から見えたメリダの町の光りは、キラキラしていて、新たな旅の始まりを予感させた。

Viva la vida

チアパスに到着して初めての朝。風が気持ちのいい朝だった。

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朝から、結婚式の準備でドタバタしていた。

飾りつけや日本のお土産をどのように置くか…など。

そんな中でも時間は進み、いよいよ結婚式。

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教会に移動して、新郎新婦の入場を待つ。

新郎側のおじいちゃんが私たちにいろいろ説明してくれる。

こちらに伝えようとする気持ちがひしひしと伝わってくる。

 

入場してきた友人を見て、思わず涙。

キレイだった。

彼女と旦那さんの人生が暖かく、素敵なものになることを感じさせた。

 

それから式は進んでいくが、所々で神父さんが気を使ってくれ、細かく説明してくれている。

 ”日本に行ったことがある。”

”式を楽しんでいますか”

などスペイン語でこちらに問いかけてくれる。

とても暖かく、おもてなしをされる素敵な式であった。

 

その後、場所をホテルに移して、日本で言うところの結婚パーティーへ。

100人以上が出席していたと思う。

バンドも歌も生演奏。

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パーティーの中盤から後半にかけては、出席している人たちが自由にダンスフロアで踊る。

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妹や友人の家族、友だちもダンスフロアに繰り出す。

それをみていたら、ふと、「Viva la vida」が頭にポッと浮かんだ。

 

初めて知り合った人も、友人も、踊りあっている。

国も年齢も、性別も関係ない。

 

生活していると悩んだり、もがいたりすることがたくさんある。

それでも、この光景を見たら、”まあいっか”って思えて、これはまさに…”人生万歳”

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メキシコ出身の画家、フリーダ・カーロの絵にも描かれた

「Viva la vida」

同じメキシコで、なんとなくこの意味を深く感じ取れた気がする。

はじめましての顔

2度目のメキシコ。

今回の旅の目的は、友人の結婚式。

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ありがたいことに、私と私の妹を招待してくれた。

私にとっては2回目のメキシコ、そして初めてのチアパス州

はじめての海外の結婚式。

飛行機に乗る前から気持ちは高鳴る。

 

メキシコシティで1日過ごし、次の日朝、チアパスへと発った。

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私の友人家族たちは先にチアパスに到着しており、私たちは1日遅れての合流。

チアパスの空港に降り立つと、私たちの名前が書かれた紙を持った女性が待っていた。

友人の旦那さんの気遣いに感謝。

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迎えに来た女性と共に、友人たちが先に行っている観光地へ。

助手席には妹。通訳をお願いした。

 

チアパスは大都市というわけでは無く、中心部には大きなショッピングモールもあるが、自然も多い。

向かった観光地は渓谷で、雄大な自然がそこにはあった。規模が大きい。

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連れてきてくれた女性が「ここに、友人がいるはず…」と言って探しに行っている間、景色を堪能していると、遠くで日本語が聞こえた。

向こうも気づいたようで、私たちを呼ぶ。

海外で友人に再会するってなんだか、ぞわぞわする。うれしい。

 

ここで、また”はじめまして”

友人のご家族、友人の友だち会う。

旅の雰囲気がそうさせるのか、すぐに打ち解けた。

 

その後も観光は続き、ボートに乗って川を進みながら渓谷を見たり、ワニやサルなんかも見たりした。

ボートのガイドさんが、「この川の先は、グアテマラに繋がっている」と。

大陸で国と国が繋がっているってこういうことなんだと、しみじみと実感する。

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夕飯は、友人の旦那さん家族と仲人さんなども一緒に、チアパスの伝統的な舞踊とマリンバの演奏が聴けるレストランへ。

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ここでも多くの”初めまして”があった。

出会って、ハグをして、挨拶のキスをして。

大げさに言えば、家族の一員になったような温かさがそこにはあった。