メキシコの朝が来る。
もう何時間かすると、メキシコに着いて丸一日となる。
そもそも、メキシコに来るきっかけは妹の留学。
きっと彼女が留学していなかったら来ることのない国だったかもしれない。
何度か海外への渡航はしたことがあるものの、時差が15時間ある国、チップ制度のある国は初めてだった。
不安が90%期待感10%
思い返してみれば、妹との旅は2回目。
準備を万端にして旅に行く私と、行き当たりばったりでなんとか乗り切る妹。
彼女との旅には、ソワソワしてイライラすることもあった。
だけれど、そんな妹、メキシコに着いてから、とてもとても頼もしい。
半年という月日はこんなにも彼女をたくましくさせるのか。
この国に生きて、生き生きとしている姿を見たら、"もう帰ってこないのかも"と姉の勘が働く。
着いて半日、有名なチュロス屋へ。
お店の前には列ができている。
すでに甘い匂いが辺りを充満していて、吸い込まれるように人々は中に入り、名物のチュロスとチョコラテを持って出てくる。
メニューを見ながら、何がおいしいんだろうね?と二人で話し合うも、私は全くスペイン語ができない。
メニューを見ても何が何だか。
結局おススメを購入。
待っている間はチュロスを作っているところも見ると期待は高まる。
店内は人が多く、座れるまでに時間がかかりそうなので、テイクアウトして、近くの公園で食べることに。
公園には、アイス屋、おもちゃ屋?、フルーツ屋、いろいろなお店と、思い思いに過ごしている人々。
遠くの広場でイベントもやっている。
近くで座れるところを見つけ、二人でチュロスをかじる!甘い!サクサク!
次はチョコラテ…激甘である。
深みがあっておいしいけれど。
二人で鼻血が出るかも牛乳入れたいねと話していた。
チュロスを食べながら、ふと思った予想を遠回しに聞いてみた。
私「卒業したらどうするの?」
妹「卒業したら、何年か海外に住もうと思ってる」
私の予想は見事に当たり。
私のなんとなくの勘は意外と信頼性があるのかも。
続けて彼女は言った。
「住もうと思っている国の候補にメキシコも入っている」と。
あぁ本当に住むのかもしれないな、と口元に砂糖の付いている彼女の横顔を見て思った。
メキシコに来る前に、片桐はいりさんのエッセイ、「グアテマラの弟」を購入した。
この旅中に読もうと考えていたのだ。まさか、はいりさんの弟のように、私の妹もメキシコの妹になろうとしているのか。
ふと思ってしまった。ただ、この予想は私を不安にはさせず、そういう人生もあるよなと妙に納得させた。