クリムトの作品を初めて見たのはいつだろう。
クリムトだ!と思って見たのは割と最近で、綺麗な絵だ!と思ったのは、かなり前のことだと思う。
私の記憶の中で、初めて見たクリムトの作品は、"接吻"だったと思う。
この"接吻"を初めて見たときは、見方がわからなかった。女性の顔があるのは分かったけれど、その他の部分をどう見ればいいのか分からず、しばらく、見ていたと思う。
"接吻"というタイトルを知って、初めて見方がわかった。
そして、初見より更に、美しい作品だと思ったと記憶している。
今日、初めてクリムトの作品を生で見る機会があった。
今回のクリムト展には"接吻"は無いようだが、有名作品のいくつかは見れるという事前情報を聞いていた。
いざ、行ってみると、そこには期待を超えた、素晴らしい作品があった。
展示の流れはもちろんのこと、展示作品の色や大きさ、美しさに感動した。
特に「ベートヴェン・フリーズ」には、息を飲んだ。展示室の中心で、ぐるりと何度も見渡していたと思う。
音声ガイドの第九を聞きながら、作品を見ていると、まるで映画を見ているような、目の前でそれが起きているような、迫力があった。
同じ階の展示を一通り見たところで、再度、「ベートヴェン・フリーズ」を見に行った。私にとって、何度も見たくなる作品で、もう一度見たいと思える作品である。
彼は、自分の好きなこと、やりたいことをやり通した人だと、思う。
そして、絵を描くことを楽しんでいた人だと思った。
作品を見終わると、クリムトの作品やクリムト自身に魅力を感じ、気持ちを動かされた自分に気づく。
描いたものには魂が宿る…というようなことを聞くが、本当だと思う。
クリムトの作品を見て、彼の強い信念を強く感じたのだから。